さまざまな生産活動を通して発生する産業廃液や廃ガスに対する規制は、世界的な環境意識の高まりとともに厳しさを増しています。
私たちは高度な燃焼技術を駆使してこれに対応。さらなる環境性能を求めて新たな技術開発に挑んでいます。
一般的に廃液処理には、活性汚泥法といった水処理や焼却処理が考えられますが、CODやBODが高く、水処理では処理不能な場合に焼却処理が選択されます。
「廃棄物の処理および清掃に関する法律」により、焼却炉の構造・維持管理基準が定められております。
当社の有機(高濃度)廃液焼却炉は、法律を完全に順守することはもちろん、独自の燃焼技術により高効率・低エネルギー化を実現しております。脱硝に関しても適切な方法により、大気汚染防止法や各種自治体により定められている基準に完全準拠する事ができます。
標準フローは、燃焼室 → 廃熱回収ボイラ → 集塵機ですが、より一層の廃熱回収と助燃量削減を行うため、空気予熱器を設置する事も可能です。
廃液中にN分が含まれると、NOx発生の原因となります。当社では、高度な燃焼制御技術を元に、2段階燃焼法によりDe-NOxを行っております。
当社が開発した液中燃焼設備は、開発以後約50年にわたり、技術的な改良が加えられてきました。
有機(高濃度)廃液に塩類が入っている“アルカリ塩含有廃液”を、一般の有機(高濃度)廃液焼却炉で焼却処理すると、アルカリによる耐火物腐食や閉塞トラブル、さらには無機塩ヒュームによる粉じん問題等が発生し、そのため長期の安定した運転を行うことができません。
液中燃焼型焼却炉は、縦型(ダウンフロー型)の焼却炉で上部に燃焼器を設置し、炉出口に溶融物が閉塞しない温度に保たれた炉内にアルカリ塩含有廃液を噴霧することにより、有機物は瞬時にして高温酸化分解し、アルカリ塩は半量は溶融物・半量はミクロンオーダーのヒューム状となり、完全に無害化されます。
炉出口に高温ガスを冷却する冷却缶(クエンチャー)に張られた冷却水を高温ガスが潜る事により、瞬時に高温ガスが90度付近まで増湿冷却されます。
冷却されたガス中に残されたヒュームは、集塵機(ベンチュリースクラバ)で捕捉され、粉じんを規制値以下に除去します。その後、粉じん除去された排ガスは、煙突から大気に放出されます。
助燃料として、重油などの液体燃料、天然ガス等の気体燃料を使用できます。また、低質重油や再生油を使用した場合、炉内において無触媒還元脱硝を行うことにより、S分の除去が可能でるため、これらの燃料も使用する事ができます。また、熱量がある廃油や廃ガスを助燃料として使用する事もでき、多様な処理物を同時に処理する事ができます。
処理廃液の熱量が低い場合、助燃料が多量に必要となり、ランニングコストが負担になります。
本システムでは、廃液を装置から排出される熱を利用し、蒸発機を装置内に組み込むことで廃熱リサイクルおよび廃液の予濃縮を行い、助燃料の削減を図ります。しかしながら、廃液中の塩濃度が高い場合には、予濃縮後の結晶化が問題になるなど、その適用範囲については、慎重な検討が必要です。
煙突から排出される排出ガスは、約90度の増湿ガスであるため、環境への負荷は完全に法令準拠していますが、水蒸気が凝縮した白煙となり、周辺環境対策上設置が必要な場合があります。
当社においては、減湿法と希釈法の2方法を採用し、適切な白煙防止をご提案しております。